石川県輪島市の避難所や仮設住宅で28日、移動スーパー「とくし丸」による、食品や日用品の無償配布があった。訪れた人たちは、果物や野菜、刺し身を手に取り、笑顔を見せた。
トマトやバナナを受け取った上野正子さん(79)は、24日に仮設住宅に入居したばかり。30棟ある住宅に誰が入居しているかわからなかったが、移動スーパーのおかげで、昨年末に会って以来、連絡も取れなかったという知り合いと再会した。食品を選んだ後も、近況を報告し合い、「まさか一緒になるとはね。これから一緒にお散歩できるね」と話していた。
「とくし丸」は1月中旬から無償配布を始めた。細かなニーズに合わせ、軽トラックで地域を回るノウハウを生かして、支援物資や食料を届けてきた。仮設住宅での生活も始まりつつある現在では、必要な物や頻度などを聞き取り、通常の移動販売に移行する時期だと言う。
本社スタッフの中嶋聖さん(44)は東京から一時的に派遣され、羽咋市のスーパーで物資を調達。輪島市、珠洲市、能登町、志賀町で現地スタッフとともに、被災地を巡っている。
「移動スーパーは憩いの場にもなります。地元の販売パートナーさんは住民と顔見知りです。自身も被災しながら、地域の方の安否確認をし、食品を届ける彼らの存在はとても大きいです」と話していた。
今後、まだ訪れていない仮設住宅を中心に、無償配布や聞き取りを行いながら、震災前から巡回している地域と合わせて移動販売を行うという。(伊藤進之介)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル